スコア+パート譜セット
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(注:ファイルサイズを小さくするためにJPEG化し、画質を落としてあります)
【編成】
ヴァイオリン独奏とピアノ(Violin and Piano)
【難易度】4.中級〜上級者向き
【原曲】Embryons Desséchés / Erik Satie
【編曲】
遠藤雄一 (Yuichi Endo)
【作者webサイト】
https://igrecmusique.com/
【演奏時間】約6分半
原曲は、エリック・サティによるピアノ独奏曲。作曲されたのは1913年、サティ47歳の時。自身の無知を非難される事にうんざりし、40歳を前にしてスコラ・カントルムでの3年間の勉強を始めたものの、学位を得てから作曲した作品は評価されず、むしろ若い世代に以前の作品に深い魅力を認められ取り沙汰される中、生涯で最も創作に打ち込んだ時期の作品。
邦題としては「胎児の干物」「乾燥胎児」等ありますが、「干からびた胎児」という訳が定着しているらしく、フランス語のニュアンスにより近いと思われましたので、この編曲版もこの邦題を採用しました。
タイトルに反して音楽としてはユーモアに溢れ、むしろ生き生きとした作品ですが、原曲の楽譜にはサティによる詩の断片のようなものが書かれており、それらを通読しても、「干からびた」というよりは、生きている物を観察しているような描写となっています(殊に第三曲は、獲物を捕らえに狩へいく情景となっている)。又、副題である「ナマコ類の」「無閉眼類の」「柄眼類の」と「胎児」を結びつけてイメージする事は、なかなか困難なのではないかと思われます。弦楽器専門の人にとってサティとの接点はあまりないように思われますが、サティの作風として、イメージの断片をモザイク状に並置していく傾向がある事と、サティ自身、支離滅裂派と呼ばれた人達に影響を受けていたという事を踏まえると、この作品の世界感が割と受け入れ安くなるのではないかと思われ、或いは、自己批判的な作品としての暗喩、クラシック音楽の退廃としての暗喩として捉えると何かしらこの作品の見え方が変わってくるのではないでしょうか。
先に書いたように、原曲の楽譜には音符がなく空白となっているところが多く、その空白を穴埋めするようにサティによる詩の断片のようなものが書かれてあります。この編曲版にはヴァイオリンとピアノの間に書き込みましたが、フランス語ですので、日本語に訳したものを付録として添えました。又、原曲の楽譜には小節線がありません。ヴァイオリンとのアンサンブルであり、オーケストラ編曲版には小節線がある事、実用版としての楽譜を制作する事を目的とする等の理由で、適当と思われる位置に小節線を加えました。
キーワード:バイオリン ソロ 楽譜